人間関係の心理のあれこれ

人間関係が怖いを楽にする方法についてつらつら綴っていきます。

凶暴性に歯止めがきかない

キレやすい子どもという呼び方は、ちょっとしたストレスで攻撃的な行動を起こし、それが制止できない、という特徴からきています。
この症状に関連して、セロトニン神経と攻撃性との関係をみた実験があります。
薬でセロトニン神経を破壊したラットでは、飼育ケージにマウスを入れると、それを殺して食べるという、非常に攻撃的で残忍な行動が現れるようになります。
この行動はセロトニン合成を回復させると、起こらなくなります。


したがって、セロトニン神経が障害されると、攻撃的で暴力的になり、それが止められないという問題が発生することになります。


常識では考えられない凶悪犯罪を起こしてしまった子どもというのは、攻撃的で暴力的な行動を止められないという側面をもっていると考えられます。


すなわち、セロトニン神経が極度に障害された状態に近いと言えます。
そうした子どもの生活環境をマスコミ報道などで見ると、往々にして「自分の部屋(殻)に閉じこもる日常とゲーム漬けの生活」が確認できます。


したがって、こうした環境が、セロトニン神経を弱らせ、キレやすい子どもを生む温床になると考えられます。

呼吸法のちょうどういい姿勢

坐禅について語るときは、背筋をピンと伸ばし、足を結跏趺坐に組み、目を半眼にと、まず形から入るのが一般的なやりかたです。
禅寺での教則本を見ると、呼吸法については「ひとーつ、ふたーつ」と数を無言で唱えながら呼吸をしなさい、と書かれてあるだけです。
あまり、細かな記載がありません。
ところが、明治、大正、あるいは、もっと古い坐禅の本には、腹筋の絞り方、鼻や気道の調整の仕方など、じつに詳細に書かれてあります。
呼吸の生理学を大学で教えている私でも、驚くほど微に入り細にわたって、説明されています。
それだけ、呼吸法に真剣に取り組んでいたことがうかがわれます。


それはそれとして、姿勢は二の次でよいと考えています。
意識的な腹筋呼吸を継続することが一番大切であると考えています。
姿勢は、あぐらをかいても、椅子に坐っていても、立っている状態でも、セロトニン神経を活性化するという点では、問題ないのです。
姿勢ではなく、腹筋リズム運動が本質なのです。
セロトニン神経が活性化されると、自然に背筋がピンと伸びて、姿勢が正されます。
ですから、最初は、姿勢にはあまりこだわらず、呼吸法を徹底的に極めてください。
姿勢は、継続するうちに、自然に決まってきます。


姿勢にこだわらない理由がもう一つあります。
呼吸法は紀元前に釈迦によって広められたわけですが、それは、インドから中国に渡り、そして日本に伝えられました。


それぞれの国で、それぞれ違う呼吸法の様式が作られました。
インドではヨガ、中国では気功法や太極拳、そして、日本では坐禅です。
最近では、バレエの振り付けで有名な西野式呼吸法を編み出しています。
呼吸法の基本は皆、同じと考えられますが、姿勢はそれぞれ違っていてもよいのだと判断されます。

自立生活のための脳

視床下部より下には、進化上、最も原始的な脳とされる脳幹があります。


脳幹の機能は視床下部と比較すると、一人(一匹というべきかもしれません)で自立して生きていくための脳といえます。


昨今、さまざまな介護システムが開発されていますが、介護を必要とせず、自立して生きていくための脳が脳幹なのです。
要介護の基準は、一人で食べられない、歩行が不自由、呼吸の補助が必要など、さまざまなレベルで認定されますが、脳幹にはこうした呼吸、循環、消化などの自律神経機能の中枢があります。
歩行、咀嚼など、いわゆる基本的な生命活動に関わる運動を調節する中枢も存在します。
その意味で、内臓や筋肉と直接につながっている脳ともいえます。


脳幹は末梢神経につながっているだけではありません。
大脳皮質をはじめ、辺縁系、視床下部など、上意脳にも結びついて影響を与えます。
その機能は、覚醒と睡眠を形成・制御するものです。

脳全体および身体全体の活動レベルを亢進させたり、休息させたりする働きです。


魚、ヘビ、鳥、すべての脊椎動物は睡眠をとりますので、魚類、爬虫類、鳥類、そして哺乳類には、脳幹があることが分かります。


この脳幹の中心にセロトニン神経があります。
脳幹には、そのほか、ノルアドレナリン神経やドパミン神経などがあり、心の三原色として注目している神経は、すべて脳幹にその存在が確認できます。
もちろん、大脳や感情脳が心の本体を担っていることに疑問の余地はありません。
しかし、それらを調整する重要な働き、それは最も古い脳、すなわち脳幹が司っているのです。